イノベーター
縁があってアメリカにサーバーを持つOMOISHOPさんとおつきあいをしている。というかそちらのサイトで履物を取り扱っていただいている。さらにオリジナル草履の別注品も納品したところだ。
打ち合わせで来社された時、彼らは自社製品の「草履」をスニーカー代わりに履いていた。曰く「鼻緒付きの草履なんて履く機会がなかったけど、思ったより痛くないもんなんですね」
僕には新鮮だった。アタラシもの好きの若いアンテナが反応してくれたんだ。
半年前の夏、OMOISHOPの塚原さんは阪急メンズ館のPOPUPでうちの草履のことを知ってくれた。そこから問い合わせがあって今に至る。そのPOPUP自体は自社製の鼻緒式の履物を洋のマーケットに売るという実験目的の意味合いが強かったのだが、結果は芳しくなかった。
さかのぼること10数年前2005~6年あたりの阪急メンズ館、伊勢丹メンズ館でのPOPUPの成功を忘れることができないのだ。紳士靴売り場の晴れ舞台で鼻緒式の草履が洋のサンダルとして受け入れられた。自社製品の自信になったし夢を見させてくれた。和が新しく新鮮に見えたようだった。
その後、流行の潮目も変わり、海外ブランドのサマーサンダルのデザイン性も年々研ぎ澄まされていき、方やビーサンアイテムもデザイン性の優れたものも増えていき、SNSを中心とするPR力もあって、うちの鼻緒式草履がそちらのマーケットで受け入れられなくなっていくのをどっしりと受け入れざる得ない心境でいた。
しかし去年のゲタサンダルを発売開始したぐらいからかな、「普段はミッドタウンのうちのフロアに来ないようなIT、デザイン系の人の注目を浴びてますよ」とのマネージャーからの報告も思い出した。そして年が変わりこの寒空の中、鼻緒式の履物を普通に履いてくれる20歳の男子を見送りながら思う節があるわけよ。

1週も2週も回って鼻緒式履物が新しいイノベーターに受け入れられ始めてるんちゃうかって。そのままそのまま。アーリーアダプターさんを待ちましょう。