菱屋カレンブロッグ

【谷町おもしろ履物店のblog】

Zサン 商品化まで①「僕編」起

Zサン 商品化まで①「僕編」起

 2017年度の東京ミッドタウンアワード受賞作ゲタサンダル。若きクリエーターチームが発表した新概念の履物だ。これを最初に見た時の衝撃が忘れられない。こんなにPOPで都会的な履物を見たことがなかった。すぐにミッドタウンマネジメントさんに電話をして商品化のオファーをした。数日後返事があった。すでに他社と商品化に向けてプロジェクトが始まってしまってるという連絡だった。

 それから半年経った頃、そのメーカーさんとの商品化の話は立ち消えになったらしくお鉢が回ってきた。台の強度、単色性、スタイリング、販売方法などなどいくつかの課題をクリアしながら約1年をかけて商品化にこぎつけた。通常使用しているEVAとは異なる素材を組み合わせることがティッピングポイント(分岐点)だった。

 2020年5月に発売開始。ミッドタウンさんの広報力もあって初回生産分は完売した。ミッドタウンのスタッフによると通常の着物ユーザー様とは違うジャンルのお客様の関心を引いていたという。確かにその数か月前の会社の着物関係者向け展示会でお披露目した時もそのゲタサンダルをお求めになったのは感度の高い方だった。

 

 僕は僕でそのゲタサンダルを実験がてらしばらく愛用していた。高さが6㎝もあるので視界も広がって気持ちいい。そしてピンク色の下駄という派手さのせいで目立つ目立つ。世間的に奇異に映ってしまってるのはわかっていたけどその高揚感は悪いものではない。

履き始めから感じてたことは「これは履けるのか?」履いてみる。「履けるな。特に問題ない」

「木の下駄のような突き上げ感がないぞ」「素材の弾力性があるからだろうな」が感想だ。

 ただ急な坂道が怖い。とくに下りる時。もっといえば下りの階段は怖い。踏み外すんだな。歯と歯の間の空間に気を付けないと転倒してしまいそうだ。まあ二本歯の下駄や一本歯の下駄も普通に発売されてるということだから「そういうもん」ということは理解してるけどなかなか慣れないと怖い履物だなというのが感想だ。草履屋として。

 そしてこれだ。しばらく履いていて気づいたことは体重をかけるとたわむんだ。「たわんでいいのか?」は決してプラスのイメージではない。どちらかというとマイナスイメージだ。ただ履けないことはない。歩きづらいこともない。そういう素材、そういう新しい履物ですと割り切ってみる。

 また評価基準を変えてたわむというマイナスイメージを「しなる」と聞こえの良いワードに置き換えてみる。さらに「ばね効果がありますよ、ナイキのマラソンシューズのように」という言い方もできると(苦しまぎれに)価値観を置き換えてみるのも「カレンブロッソのものづくりものがたりWAY」

 起承転結の「起」気付きだ。

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